ハイトーンを教えるのが難しい理由と賢い教え方
しかし、そこに至るにはなかなか険しい道が待っています。この記事ではハイトーンの出し方/方法よりも教える側目線でハイトーンをレクチャーする方法をご紹介します。
ルカちゃんも前に比べるとだいぶうまくなったよね。高い音がしっかりなるようになってきて、ぼく嬉しいよ。
やっぱりそう思う!?たまにはいいこと言うじゃない!!
まあね。うまくなったってことは今度は後続を育てないと。
ぐっ。。。それがなかなかうまくいってなくて・・・
1.教えるのが難しい理由
ハイトーンってどうやって教えたらいいんだろう?って疑問を持ってる人はたくさんいると思うけど、ルカちゃんはどう?
私もその一人だよ。なんて言うのかな、いろいろ練習はしてきたけど、気付いたら吹けるようになってたって感じなんだよね。
お!的を得たことを言うねえ。そうなんだよ。ハイトーンって自転車や水泳と同じで気付いたらできていた、つまり体で覚えるものなんだよね。だから関節の動かし方や角度をいくら聞いても上達しないように実践あるのみなんだ。もちろん奏法は大事だけどとにかく実践だよ。
うんうん確かに。そういうことだよね!後輩ちゃんにずっと付きっきりでみてあげることもあるんだけど、これって意味あるのかな~なんて思えてきちゃって。
伝えること伝えたらあとは一人で奮闘させてあげるっていうのもいいよ。ずっと見てあげるのも間違ってはいないけどね。もう一つ大切なポイントとして、奏法には一人ひとり癖があるってこと。
クセ?
クセっていうかね、吹くときの個人差だよ。プロの演奏とかで椅子にもたれかかった姿勢で吹いてる人とかいて「あんな姿勢でよく吹けるな」って思うんだけど、その人にとってはそれがベストなんだよね。
ただ体調が悪いだけなんじゃない?
そ、そそ、そんなことあるわけないよ!(汗)体調管理もプロの仕事なんだから!
だから教えるときはその辺りも考慮してあげるといいかもしれない。「絶対この方法」っていうんじゃなくてね。そういえば僕が高校の時の後輩に吹く前に必ずマウスピースをペロッと一舐めする奴がいたよ。
なんだそれ・・・!
ハイトーンは体で覚えるものです!もちろん出しやすい奏法、高い音に向いた奏法はありますが、基本的には自分の体と相談しつついろいろ試してみるに限ります。
練習あるのみ!実践あるのみ!です。・・・そうは言っても先輩として、先駆者として教えないといけないこともあるでしょう。次の章では奏法には個人差がある、ということを考慮した上でどう教えればいいのかを紹介します。
2.教え方の秘訣①~理屈はほどほどに
さっきは『個人差がある』なんて言ったけどね、そうは言っても万人に共通して言えることもあるわけで、この章ではそういう理屈っぽいことを説明するよ。
あんまり理屈っぽい男は嫌われるよ。
ル、ルカちゃんの為を思って言ってるんだからね!汗
嫌われようとも相手の為に動く!これが真の男、いや漢だよ。
はいはい、わかったから進めてちょうだい。
2-1.発音はTi(ティ)!
まずね、普通に演奏するときの発音はTu(トゥ)とかTo(ト)でやってると思う。あまり意識はしないけどね。で、ハイトーンを吹くときはTi(ティ)がいいんだよ。
なんでTiなの?Ta(タ)とかTe(テ)だってあるじゃない?
ふふ~ん♪今、ひとつひとつ意識しながらTa(タ)Ti(ティ)Tu(トゥ)Te(テ)To(ト)って言ってみてよ。演奏してる時の感じをイメージしながらね。
Ta~、Ti~、Tu~、Te~、To~・・・
あ!!
きた!?
うん!あのね、Ti(ティ)の時が一番息のスピードが速くなる!それに息が出る穴が一番狭くなるよ。これ、ハイトーンに適してるやつだよね!
ピンポーン!そういうことだね。
あとハイトーンを吹くときによくやってしまいがちなのが唇にマウスピースを押し付ける行為だよ。
2-2.マウスピースを押し付けない
うーん。。。あれね。最初のうちはどうしてもやっちゃうんだよ。どうしろっていうのよ。
まずは押し付けてしまうデメリットを頭で理解して、気を付けつつ実践だね。
そのデメリットはなんなの?
金管の場合、音の発生源は唇なんだ。唇の振動が楽器に伝わり、空気に伝わり、聴衆の耳に届くってメカニズムだよね。で、唇にマッピを抑えつけるってことは振動できる余地を自ら減らしてしまうことになっちゃう。・・・ということは?
ふむふむ。抑えつけたらダメってことは息の圧力でカバーしないといけないんだね。アパチュア(空気が出ていく唇の穴のこと)を狭めたりね。
またまたピンポーン!
やった!気づいたら吹けてたからあまり意識しなかったけど、そういうことなんだね。
奏法には個人差があるとは言いつつも、共通して言えることはどんどん教えていきましょう。ハイトーンを吹くときの発音はTi(ティ)が最適です。
慣れてきたらそんなことは意識しませんから、Tu(トゥ)でもTo(ト)でも問題ありませんが、息の流れやスピード感が掴めない/伝わらないうちはTi(ティ)をオススメします。
もうひとつは過度にマウスピースを唇に押し当てないこと!これ、あまりやりすぎると前歯の根っこが弱くなるので本当に気を付けて下さい。現に私、前歯を指でつまんだら少し動かせますから(´・ω・`)(・・・どんだけ押し付けたんだ)
3.教え方の秘訣②~ファイトーイッパーツ!方式
で?結局教えるにはどうしたらいいの?
ズバリ、一緒に吹く!だね。
ハイトーンって音そのものを鳴らせるかっていうのももちろん大事なんだけど、高らかに吹いてる時のあの感覚をいかに早くものに出来るかがポイントなんだ。
最初のうちは音は出るようになっても演奏になるとトチったりするもんね。
上手な人と一緒に吹くと自分の音がその人の音に覆われて自分まで上手くなった気がすることがあるけど、あれって実はすごく大事なんだよ。上手く吹けるとこんなにも気持ちいい、っていうのは早いうちから感じてた方がいいよ。
でもそのあと個人練習に戻ったら「さっきのは錯覚か。先輩と吹いてたから上手くなった気がしただけか」って落胆することもよくあるけどね。
ま、まぁそういう悔しさも向上心に変換出来たらこっちのもんだから。上手な人と一緒に吹いてグイッと一段上に引き上げてもらってさ、あのCMみたいに。
ファイトーイッパーツ!!ってそういうことかい。
ハイトーンを身に着けるポイントは個人練習でじっくりと音域を伸ばしていくことと、合奏やパート練習の場で上手な人と一緒に吹いて吹きこなせる感覚を(錯覚でも)身体で感じてものにしていくことです。
自分より上手な人と練習するのは上達するにあたってとても有用な方法ですから、伸び悩んでいるならそういう機会を増やしてみるのもいいでしょう。ハイトーンが決まらないとダサい上に恥ずかしいですから(時間はかかるものだけど)はやくマスターしてバンド全体を引っ張ってやりましょう!そしてお客さんの耳にもガツンと届けちゃいましょう!
4.おわりに
ハイトーンって金管楽器、特にホルンやトランペットには夢だよティ。
そうだよ。最初は顔真っ赤にする割には全然でないんだけどあれが出るようになったら音楽が一気に楽しくなるし表現できることが増えるよね!
少しでも全国の金管奏者の力になれるといいティ。
こんなとこでTi(ティ)アピールしなくていいから
ハイトーンのポイントは・・・
①Ti(ティ)!
②マッピを唇に押し付けすぎず、息圧でカバー
③上手な人と練習して引き上げてもらう
です!なかなかうまくいかなくて悔しい気持ちはよくわかります!でも、今涼しい顔でハイトーンを吹ける人はみんな通ってきた道です。だからくじけずにチャレンジしてください!輝かしいハイトーンが会場中の空気に響き渡るのは本当に快感です。自分の音が間違いなく全員の耳に届く感動を是非味わってください!