2018年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅱ『マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ』トランペット解説!
コンクール当日も同じ課題曲の団体が続くことがよくあります。だからこそ、他と差をつけられるように取り組みましょう!
今日はマーチ・ワンダフル・ヴォヤージュの解説だよ。
『ワンダフル』は『素晴らしい』って意味だよね。
そうだね。ワンダフルフルフルフェイス~♪
え?どういう意味?
あ、ごめん。ノリで言っただけ。
ノリかいっ!
1.全体のトランペットの立ち位置や役割
最初の音はみんなE♭だね。
は~良かった。トランペットに優しい構成だ。
でも裏拍からのスタートでさらに最初の音は16分音符だからここで転ばないようにしてね。
そ、そうね!気を引き締めなきゃ!冒頭2小節のユニゾンはとにかく音型・音程・音色が揃うように!
あとは低音域からのスタートは安心できる要素ではあるけど、その分埋もれやすいという特徴もあるから特に注意しようね。
うん!サックスパートも同じ動きしてるからちゃんと練習しておくよ
まずはアーティキュレーションを抑えましょう。3小節目はほぼすべてのパートが同じ動きをするので、トランペットだけ浮くことも沈むこともないように吹き方をそろえる練習をしてください。
5小節目のベルトーンは音域も編成も若干聞こえにくい構成になっています。バランスをとってしっかり主張するのか、あえて控えめな印象を残し後で登場するベルトーンへの布石として奏するのか、はたまた———かは指揮者の解釈に委ねてください。
2.練習番号A
Aはよくあるパターンだね。
木管がメロディを吹いてB前の盛り上がりだけ華を添える役割?
そそ。まぁトランペットだけじゃないけど、推進力や抑揚をアピールできるポイントだよね。
だったら張り切って吹かなきゃ!
出たよ・・・
なに!?
いや、ここはまだ序盤だしそういう妙な力みはいらないんだって。あくまでAB間を繋ぐ役割だから。
Bで急に編成が厚くなるのに違和感を持たせないための緩衝材的な?
そういう解釈もあるよね。
む!これが正解じゃないみたいな・・・!
いろんな解釈があるってことだよ。
音楽って奥が深ぁ~い♪
Aも冒頭同様に音域もアーティキュレーションも特に難しいことはないと思います。13小節目の1拍目裏、2拍目裏のシンコペーションはしっかりと強調して効果的に吹きましょう。それだけで音楽全体が引き締まる効果があります。
あと、ここで一番楽しいのは1stでもなく2ndでもなく3rdでしょうね。3rdがしっかり鳴らし1st,2ndとハモルことで奥行きが生まれます。練習番号Bへの架け橋としての役割を全うしましょう。
余談だけど、14小節目のフルートピッコロが私には理解できない・・・。
3.練習番号B
練習番号Bも基本的にはAと同じだね。
だったら何を教えてくれるの?
練習番号AとBの違いといえば何と言っても最後の小節だよ。
このフレーズがまだ続くのか、もう終わるのかってところね!
正解!練習番号Bはここまでの流れを一旦切って新しいフェーズに入るから最後のソレシの和音はちゃんとハーモニーを合わせる練習をしておきましょう。
ハーモニーか。ここは単純で綺麗な和音ね。長3和音よ。
こういうところは楽譜通り吹くと一音一音が短いから一度全音符に変えてロングトーンで合わせるといいよ。
1stの人は大変だぁ・・・!
トランペットはメロディに代表されるような自分たちが目立つところは頑張るのですが、この手の部分はおざなりになりがちです。ですが、最初に言ったようにこういう細かいところをどれだけ詰められるかが差の付くポイントでもあります。
和音が綺麗に鳴っているか、またBからCの流れが不自然でないかを何度も何度も聴き返すようにしてください。
4.練習番号C
これも課題曲マーチではおなじみのパートだね。
んったっんったっんったっ!
え?頭おかしくなったの?
楽譜を歌ったのよ!
あーぁ。
ここはトランペット単体でどうかっていうよりも全体で見たときにどんなバランスで吹くかが重要だね。
楽譜自体は簡単だにゃ。
でも初心者や下級生の子は侮ってはいけないよ~。(チラ)
(ギク・・・)
ここまでのメロディでも出てきてたけど音を単体で鋭く刺すように吹くのって、これもある程度技術のいる技だからね。
と、特に最初のうちは汚くなりがちなのよね。ただ短い音を出すだけ、みたいな・・・。
よくわかってんじゃん。こういうところは『短い音』というよりも「刺す」「突く」「刻む」のように何か音に性格を持たせようとすると表現の幅が広がるよ。
が、がんばるぞーっ!
28小節目の1stにあるリップスラーはさほど難しくはありませんが、最初のFだけ飛び出すことのないように注意してください。高音域に慣れていないと変に音の鳴りにムラができてしまいます。
5.練習番号D
やっと練習番号Dに来たね。
やっとメロディだーー!!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
1stは放っておいてもかっこよく吹くようにするだろうけど、それをさらに引き立てるのが2nd,3rdの役割だね。
こういう楽しみって1年生のときは分かんなかったよ。でもこの手のハモリって飛びっきり楽しいんだよね~♪
そうだよ。だいたい1stがメロディをちゃんと演奏するなんて言うのはどこの団体もやってくるからね。
そんなのは当たり前ってわけか・・・私も成長したにゃ・・・
自画自賛はいいよ。もう1ランク上の演奏をしようとしたら何に気を付けないといけないかわかる?
はいはいはい!どんな風に歌うか、です!
そうだね。これは2ndも3rdも含めて、いかに心地よく聴かせるかがポイントになるよ
ラーラ~ララララララ~ラ~♪
わわ・・・耳が・・・イタイ!!
そんなに!?
歌い方を研究してください!
Trioのベルトーンはパートを跨いで行います。合奏やセクション練習の時にしっかり受け渡しを練習しておきましょう。
6.練習番号E
練習番号Eはベルトーンだけです!
よく取り上げたわね。。
ここはミュートをつけてるよ!ミュートをつけてるってことは?
音程がちょっと高くなります!
はい、そうだね。ミュートをつけての演奏は少し音程が高くなります。もちろん個人差や楽器によっての差はあります。
なので、ここも甘く見ないでちゃんと練習しておいてね☆
ぶっちゃけねぇ、こういうところがトランペットにとってはクセ者なんだよ。
分かるぅ。
割と静かに進行してるところで急に出てくるベルトーンね。しかもミュートをつけてとか、mpとか、ディミネンドとか・・・
軽視されがちだけど、難しい要素が詰まってるんだよね。
そうなんだよ・・・全国の合奏の指揮者の人は優しくも厳しく指導してあげてね。
トランペットにとっては意地悪なところです。・・・ファイトです・・・!トロンボーンもやってるので一緒に練習しましょう。
7.練習番号F
練習番号Fもちょい役だよ。
『ちょい役』って・・・ドラマか!
いやでも、違うね。練習番号Fの中だけで見るとちょい役だけどGも意識するとかなり大事な役割を担ってるね。
最初からそう言いなさいよ。
Trioに入ってからこの練習番号F終盤までは結構穏やかにのんびりとくるんだよね。でもでも~~?
え、えーっと・・・でもでも!この56小節目のトランペット(フルートも)を皮切りに一気に元気ハツラツな感じに様変わりするよ!
そういうことだね。良く言うと『元気』『快活』『明朗』って言葉が似合うような活気がついてくるね。
悪く言うとあけすけ、忙しないって感じかな・・・?
だね。まぁ捉え方は人それぞれ、さまざまだけど。
ここまでの穏やかな流れを断ち切る勢いで吹きたいね。
そうだね。クレシェンドを少し大げさにかけるとここまでとの違いもはっきりと演出できていいね。
タイトルにある「素晴らしい旅路」がまた場面転換するシーンです。静かで穏やかな心休まる一時が過ぎ、ガヤガヤと賑やかな街路に踏み入れるかのようですね。
具体的な風景をイメージして演奏する、当てはめるというアプローチも有効です。いろいろ試してみてください。
8.おわりに
あれ?おわり?
半分まで来たし、ちょっと長くなってきたから、ここでいったん休憩だね。
え~~!!ここからが楽しくなるんじゃん!!
だからこそだよ。なんでもそうだけど「もうちょっとほしいな」ってくらいで辞めておくのが一番いいんだよ、
(そんな屁理屈言って自分がつかれただけなんでしょ)
というわけで、ルカちゃんも「もう少し聴きたいな」と思ってもらえる演奏ができるように次回までに復習しておいてね。
逃げたな。
コンクールに向けた練習は課題曲、自由曲のどちらかだけに注力すると疲れると思います。バランスよく、またいろんなアプローチで飽きないように頑張ってみてください。
では、後半に続く!