吹コンのルールを解説 その② 予選から本選の流れ
このページでは最初に出る大会から最後に出る全国大会までどんな流れになっているのか、どうすれば次の大会へ進めるのか、全国まで駒を進められる確率はどの程度なのかをご紹介します。
youtubeで吹奏楽のいろんな演奏聴いてたんだけどさ、黒い床の舞台で演奏してる団体がチラホラあるじゃない?あれってどこなの?
おっ黒い床ってことは舞台には「第○回全日本吹奏楽コンクール」って掛かってたんじゃない?
あれ!?知ってるの!?
もちろんだよ。ぼくはあそこで演奏したこと・・・あ、ないわ。
ないんかい。もったいぶってないで教えなさいよ!
1.概要
まずは全体的な話をサクッとしちゃうよ。これ↓を見て。
すごい簡素な図ね。
ま、まぁまぁ。そこはそっとしておいてよ(^_^;)見てお分かりの通り、地区大会に始まり、都道府県大会、支部大会を経て最後に待ち構えているのが全国大会だよ。
あれ?私『地区大会』なんて出た覚えないんだけど。
その辺は次の章で説明するよ。
で、どうやったら、下位の大会から上位大会へいけるかだけど・・・
そんなこと説明してくれなくても分かってるわよ。
あ。そ、そうだよね。ルカちゃんでもそれくらいわかるよね。答えは審査員に賄賂(わいろ)を渡す、だね!
ちょいちょいちょいちょい!!!!違うでしょ!!
審査員に媚びてどうすんのよ!お金渡してどうすんのよ!そのお金保護者から徴収するの!?私の家貧乏だよ!ってうるさいよ!!!
ナイス自分ツッコミ~♪そうそう、そうだよね。上位大会に駒を進めるにはその大会で一番の演奏をすることだね。実際には3団体選ばれたりするから、トップレベルの演奏だね。
はぁ、はぁ。。。で?全国大会に出られる確率はどのくらいなの?
毎年出場団体数が異なるから一概には言えないんだけど、ちょっと古い情報であるのが、0.77%だね。ここ >
えぇ!1%もないの!?
そうなんだよ。すごく狭き門なんだね。
これは気が遠くなるわね。
下位大会から上位大会へ駒を進める方法はとにかくハイレベルな演奏を披露して代表に推薦されることです。非常に低い全国に出られる確率『0.77%』がいかに出場者の多い大会であるかを物語っていますね。
簡単に説明した『地区大会』は出場したことがない、という人もいるかもしれません。次の章からは各大会について詳しく見ていきましょう。
2.地区大会
吹奏楽コンクールで最初に出る大会がこれ『地区大会』だね。
さっきも言ったけど、私出たことないよ?都道府県よりも小さい単位で行われるんでしょ?
そうそう。そうなの。地区大会はルカちゃんみたいに出たことないって人も多いと思う。どうして地域によっては都道府県大会よりも前にもう一段階予選を設けてると思う?
んー。。。団体数が多いから以外に思いつかないんだけど。
ピンポーン!それだよ。例えば大阪なんかは団体数が多いから府大会から始めるには無理があるんだよ。これ↓を見て。
- 大阪府の吹奏楽コンクール地区大会【中学Aの部(2015年)】
- 北摂地区:45団体
- 北地区:41団体
- 中地区:38団体
- 南地区:42団体
- 計:166団体
ちなみに京都府は74団体だよ。
- 大阪府の吹奏楽コンクール地区大会【高校Aの部(2015年)】
- 北摂地区:18団体
- 北地区:20団体
- 中地区:19団体
- 南地区:15団体
- 計:72団体
うげ!こんなに団体があるの!?いきなり府大会なんてやったら審査員の人はこれだけの団体を連日審査しないといけなくなるわけだ。
うん。そうなると金銀銅の基準がぶれたり、結果発表が待ち遠しすぎたり、ホールが確保できるかとか、諸々の問題が出てくるんだよね。団体数が多いっていうのが一番の理由だとは思うけど、そんな背景から都道府県大会の前に一足先に始める地域があるんだよ。開催時期は夏ね。
調べてみたらお隣の京都府は府大会で中学Aの部が74団体、高校Aの部が39団体だよ(2015年)。やっぱり大阪って学校が多いんだね。人口が多いといろいろ大変だなぁ。。。
一度だけ聴きに行ったことあるんだけどね、すごいよ。こんなこと言っちゃダメなんだけど、下手なところはとことん下手だね。この2015年って関西から全国に推薦された団体が3つとも大阪からだったんだけど、上から下まで技術レベルの幅が広いんだよ。だから全国的にみてもワーストトップレベルの演奏が聴ける貴重な大会でもあるよね。
それって貴重なの・・・?不名誉すぎるよ!!
まー本人たちのやる気とかもあるけど、こういう指導者や環境に恵まれない団体をどうフォローしていくかっていうのも吹奏楽界の抱える課題だよね。
ほんとだよ。。。吹奏楽をやってたことを誇りに思えるような、いい演奏をしてほしいな。
地区大会は団体数の多い都道府県で開かれる大会です。これで、吹奏楽コンクール全体の構造が少し見えてきたのではないでしょうか。技術レベルや特色が団体によって異なるのは然るべきですが、地区大会からハイレベルな演奏が多数繰り広げられるようになると、もっともっと吹奏楽が盛り上がることになると思います!
地区大会がある人は少し早めにスタートしますから忙しないですが、それだけ舞台で演奏できる機会が一回多いということですからプラスにとらえて頑張ってください!
3.(都道)府県大会
お次は府県大会だよ。
府県大会?『都』と『道』は?
東京都と北海道はちょっと他とは構造が違うんだよ。全国大会でも「東京都代表~~中学校吹奏楽部」とか「北海道代表~~高校吹奏楽部」ってアナウンスされるように東京都大会・北海道大会の次は全国大会なんだ。
ふむふむ。じゃあ府大会と県大会は次の支部大会を経て全国に繋がるのね。
そそそ。ほとんどの人がこの府県大会でコンクールを最初で最後の舞台として終了するという、別名『夏の終わり』とも言われる大会だね。
いやいや!聴いたことないよ!
ぼくも今初めて言ったよ。この大会はほとんどの人が出たことあるだろうから、改めて説明することも特にないんだよね。でも、大会の特徴としてひとつ言えるのは客のレベルが低いってことだよ。
客のレベル?
うん。マナーを守らない人がいるんだ。客席には出演者の保護者が多いけどその中には『演奏を聴きに行く』というより『我が子を見に行く』って意識の人もいるようなんだね。
その二つ、一緒じゃない?
いやいや、大違いだよ。なにが違うって後者は演奏中でも平気でしゃべるんだよ。ああいうのは本当にどうにかしてほしいもんだね。スマホいじりも多いね。
あーなるほどね。それだったら出場した中高生でさえ他校の演奏中にしゃべる人いるわ。
上位大会になるとそういうことはなくなるんだよ。チケットを取るのでさえ難しくなるから本当に聴きたい人しか行かなくなるんだ。ああいうのは本当に演奏中に私語したら椅子に電気が流れるように仕込んでおいてほしいね。
落ち着いて聴けないよ!
府県大会は多くの人にとってなじみのある大会でしょう。実際に出た人はもちろんのこと、吹奏楽コンクールのことをよく知らない人も一度足を運んでみると雰囲気を掴める敷居の低さがあります。
たくさんの人が涙をのんだり達成感に包まれるなど、ドラマが見られるイベントでもありますね。お次は演奏レベルがグッと高くなる支部大会です。
4.支部大会
いよいよ支部大会だね。これは以下の11支部で開かれるよ。
- 北海道支部
- 東北支部
(宮城県 岩手県 青森県 秋田県 山形県 福島県) - 東関東支部
(栃木県 茨城県 千葉県 神奈川県) - 西関東支部
(新潟県 群馬県 山梨県 埼玉県) - 東京支部
- 東海支部
(愛知県 三重県 岐阜県 長野県 静岡県) - 北陸支部
(福井県 石川県 富山県 ) - 関西支部
(大阪府 京都府 兵庫県 滋賀県 奈良県 和歌山県) - 中国支部
(広島県 岡山県 山口県 鳥取県 島根県) - 四国支部
(香川県 高知県 愛媛県 徳島県) - 九州支部
(福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 鹿児島県 宮崎県 大分県 沖縄県)
わー!47都道府県揃ってる。
この中から勝ち抜いた団体が全国へ行くの?
うん。支部大会にもなるとレベルがグンと上がるんだ。チケットも取りにくくなるから演奏を聴くのも一苦労だよ。
そうだよね。府県大会で選ばれた団体が集うんだからすごい演奏ばっかりだね。
これは今まで府県大会で終わってた人も一度無理をしてでも聴きに行ってほしいよ。やっぱりそこまで登ってくる団体は演奏の気迫がすごいからね。そういう演奏を生で聴くと今まで見えなかったものも見えてくるようになるよきっと。
うん。今年は私も朝から並んで聴いてみるわね。
地域によってはチケットぴあじゃないとチケットが取れなかったりするから注意して!
自分たちの演奏を聴きたいが為に苦労してチケットを取る人がいるなんて・・・なんだか快感!
支部大会は全国大会の一歩手前!この時点でも凄い演奏をする団体が目白押しです。開催時期はだいたい8月末から9月頭です。支部大会の演奏をCDやDVDで聴く/見るのももちろんいいですが、やはり生で聴くのは全く違います。
一足先にコンクールが終わってしまった人は最寄りの支部大会に是非足を運んでください!チケットだけは事前にリサーチした方がいいですが、生で聴けたらきっと心地よい演奏に包まれるのでどうぞ!
5.全国大会
いよいよ、全国大会だね。これはもう吹奏楽の祭典だよ。実際はプログラムに従って粛々と演奏が披露されていくだけだけど、これまでの大会と決定的に違うことが1つあるんだ。
決定的に違う・・・?演奏がうまいとか?
それもそうだけど、もっと客席側で違うことがあるんだ。ヒントは演奏後。
うーん。。。拍手が長いとか?(もったいぶってないで早く言ってよ。)
拍手はこれまでと同じだよ。あんまり長いと全体のプログラムに響くからね。答えは『ブラボー!』だよ。
ブラボー?
うん。よかった演奏には客席からの大拍手とともに会場中に響き渡るほどの大声で「ブラボー!」ってお客さんが奏者に賞賛を送るんだ。
えーーー!?なにそれ!?すごい!嘘じゃないよね!?
嘘じゃない嘘じゃない(^_^;)youtubeにも全国大会の演奏っていくつか上がってるみたいだから聴いてみて。いい演奏には拍手喝采とともに起こるブラボーの嵐だよ。
ちなみに全国大会は2000年代前半までは毎年東京にある普門館で行われてたんだ。冒頭で言ってた黒い床のステージは普門館のことだよ。
今はどこでやってるの?
愛知県にある名古屋国際会議場だね。普門館は耐震性能が基準を満たしていないとかで改修中らしい。
そうなんだ。。。私も普門館で演奏したいな。早くあそこに戻らないかな。
どうだろね。ここ見てるとなんかダメっぽいよ。
もー!人が夢見てるところに現実見せないでよ!
チケットはどうやってとるの?
チケットぴあだね。昔は争奪戦でいくら電話してもつながらないとかあったけど、今は抽選なのかな。
だったら望みあるかも!!
全国大会と言えば昔は普門館でしたが今は名古屋国際会議場です。全国大会は毎年金賞受賞団体の演奏だけをまとめたDVDがブレインから発売されるので、是非クラブでひとつ購入してみてください。
いい刺激になります。カメラワークも下位大会のものに比べるとよさそうです。同年代の人がすごい演奏をしてるといい刺激になりますので、今まで関心のなかった人も少しだけ演奏を聴いてみてください!
6.おわりに
や~長くなっちゃった。夏に始まり秋に終わるから、全国までいくとコンクールも結構長期戦なんだ。練習で言うと4,5,6月~10月になるから、およそ半年かけて2曲を仕上げることになるね。
ぐー長いよ。全国まで行く団体っていろんな意味ですごいね。
そうだね。まーでもみんな頑張って気持ちのこもった演奏を披露してるからそれでいいんだよ。各地でいろんな演奏・ドラマが繰り広げられて無事に終わるコンクールに関係者は皆安堵する、これの繰り返しだよね。そうしたら今度大人になったルカちゃんがそのときの中学生/高校生を支える番だよ。
なぁ~によ、急にいいこと言っちゃってさ。だったら地区大会はすごい下手とか言ってんじゃないわよ!
ぐ。。。ま、まあ?現実を伝えていくっていうのもこのサイトの役割だからさ、ぼくはみんなに嫌われることを承知で心を鬼にして言ってるんだよ。^^;
なんか苦し紛れね。まー頑張って練習するよ。
全日本吹奏楽コンクールの予選~本選の流れはいかがでしたでしょうか。半分以上の人が府県大会で終わりますが、一生懸命練習した演奏はいつ聴きかえしてもいいものです。
本選への流れが分かったら世界もひらけるでしょうから、少し凝った練習をしてみたり本気でコンクールに挑んでみたりしてはいかがでしょうか。
上手な演奏ができると日々の活動や本番がより楽しくなるので、参考にして頑張ってください。